Ca²⁺ activity maps of astrocytes tagged by axoastrocytic AAV transfer | Science Advances (2022)
Georgiou L, Echeverría A, Georgiou A & Bernd Kuhn
https://doi.org/10.1126/sciadv.abe5371
This work is licensed under CC BY ( https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/ )
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動物:マウス(mouse)
手法:二光子イメージング(two-photon imaging)(GCaMP6f)
カルシウムイメージング(Ca²⁺ imaging)
記録対象:
大脳皮質(Cortex)内のアストロサイト(astrocyte)
Barrel cortex
2/3層(L2/3)
OISTの光学イメージングユニットによる研究
アストロサイト(astrocyte)は単なるニューロンの補助を行う細胞と考えられていた
しかし、最近の研究では神経による情報処理への関与が示唆されている
アストロサイト(astrocyte)は細胞内Ca濃度を変化させることでシグナル伝達が可能と考えられる
Naa_tsure.icon膜電位(membrane potential)に変化はないの?
Naa_tsure.iconCa²⁺はアストロサイト内で空間的なコンパートメントを形成してるのかな?
過去の研究ではアストロサイト(astrocyte)のシグナル変化は遅いことが報告されている(数十秒スケール)
これは神経細胞間の伝達と比べて遅すぎる
また、アストロサイト(astrocyte)による情報処理の研究は生体外(ex vivo)の条件で行われていた
これでは生体内の神経回路において、アストロサイトがどのような機能を果たすのかが分からない
この研究では、生体内でアストロサイト(astrocyte)の活動(細胞内Ca²⁺変化)を記録できるツールを開発した
神経細胞を介して、シナプス後細胞に取り込まれるアデノウイルスベクターを利用した
これにより生体内のアストロサイト(astrocyte)に対してカルシウム指示薬を発現させることに成功した
Cre/loxPシステム
このツールを利用して、行動課題中のアストロサイトの細胞内Ca²⁺濃度変化を数日間記録した
マウスをトレッドミル上に歩かせる(運動状態)/ひげを刺激する(感覚刺激)
運動の開始(Rest→Run, 上段)では、
Ca濃度(dF/F)の上昇(変化?)頻度(Frequency)/変化時間(Duration)/変化面積(Size)が有意に変化した
感覚刺激(刺激前→刺激後,下段)では、
頻度がわずかに変化したが、それ以外には変化が見られなかった。
https://scrapbox.io/files/6436d4afca5774001b675ce5.png
つまり、アストロサイトは感覚刺激より運動状態に連動したCa²⁺変化をしていると考えられる。
Naa_tsure.iconデータ量がすごい
Naa_tsure.iconどの条件でもAmplitudeに変化が見られないのが意外
Naa_tsure.icon応答領域が広がっているのに、Amplitudeに変化が見られない?
Naa_tsure.iconAmplitudeは応答があるとみなした領域のみを対象としている?
Naa_tsure.iconそもそも指示薬が空間的に不均一に発現していそうだけどその解析でいいの?
Naa_tsure.iconFrequencyは上がり続けているのに対して、DurationとSizeが6秒後には落ちてきているのも気になる
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単一アストロサイト(astrocyte)のCa²⁺について、細胞内の微小空間レベルで解析を行った
アストロサイトはホットスポットを持ち、行動によって空間的に異なるCa応答パターンを示した
さらにこの行動によって異なる応答パターンは1日後においても保存されていた
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この結果は記憶のエングラム(engram)を表している可能性もあると考察している。
Naa_tsure.iconこの行動ごとに異なるCa変化パターンは、
どのような機能を持つのか?
Naa_tsure.icon細胞の各領域は独立したユニットとして働いて、グリオトランスミッターの放出とか?
樹状突起放出(Dendritic release)とかノンスパイキングニューロン(Non-spiking Neuron)の話題に近いのかも
個々のアストロサイトによって異なるのか?
アストロサイトの活動を抑えたら行動にどのような影響が出るのか?
どのようなメカニズムによって実現しているのか?
Naa_tsure.icon神経からの伝達がやっぱりメインなんだろうか?
アストロサイトが神経活動に対してかなり大きな影響を与えてるとすると、研究しなければならない細胞数がグッと増えてより複雑になりそう
アストロサイトの形態/生理応答の多様性が神経細胞の多様性と比べてどうなのかも気になるNaa_tsure.icon
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Ref
脳内の天体観測:星状の細胞が見せるユニークな活動パターン|OIST
Georgiou, L., Echeverría, A., Georgiou, A., & Kuhn, B. (2022). Ca2+ activity maps of astrocytes tagged by axoastrocytic AAV transfer. Science Advances, 8(6), eabe5371.
#論文
#2023/4/12